傷病休暇皆無=昇進・昇級?
SIA客室乗務員の突然死、物議を醸す
今月はじめ、米国サンフランシスコで38歳シンガポール人客室乗務員の、帰国フライト直前のホテル室内における突然死が報告された。
彼女がチームの中でもシニア的地位であったこと、また、死に至ってしまう前日と前々日は体調の不良を訴えていたことが明らかになり、また一方で、シンガポール航空(SIA)がクルー社員の昇進評価基準として、MCフリー(病欠皆無)を推進しており、病床休暇が非常に取りにくいという体質であると、Facebookでコメントが寄せられたことをきっかけに、病欠と昇級に関する論議が沸き起こった。
ストレートタイムズ紙の記事によれば、SIAでは、毎年の病欠回数をポイント制でカウントダウンしており、ポイントの残数が賞与・昇級に大きく影響していたという。
ところで、数年前に、人材リクルート企業JobsCentral社が当地企業に対し実施した調査によれば、5人に1人は仮病MCを取得しているという事態が報告されている。
とは言えど、年間祝祭日数が日本などと比較して少ないシンガポールにおいて、最低14日間保障されている病床休暇は、有給休暇取得と同様に労働者の権利でもあるはず。
実際のところ、シンガポールの企業では、特に小売サービス・飲食業界を中心に、皆勤社員に対し、ボーナス報奨や昇級へ反映させるシステムを導入している会社・団体は少なくない。
今度のことを受け、その数日後には、人材開発庁(MOM)も、すべての社員はMCが医師から発行されている場合には、病床休暇を取得する権利がある、と強調。勤務中の病気悪化や突然死などを事前に防ぐよう、またその上で、勤務評価は、病欠の回数ではなく、能力・貢献度に対して公平・公正におこなうべきである、と改めてアナウンスした。
ここ数週間論議を呼んでいる病欠の取り扱いだが、
確かに、突然死のような、予期せぬ悲劇だけは防ぎたいものである。
オリジナル記事はこちらで
The Straits Times
The New Paper
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