海外集約するブレイン、流出食い止め策は
2013年6月調査リポート
「米、英、豪、シンガポールが就業希望国トップ4にランクイン」
Hydrogenグループと欧州ESCPビジネススクールが合同で実施した、ビジネスマンのボーダーレスキャリア志向を示す調査結果がこのほど発表された。アンケートの対象となったのは国際舞台で活躍する二千人のビジネスマン。
人気が集中した15カ国、第3位のシンガポールの他にアジア域内は、第8位の香港、11位の中国で、日本は圏外のようだ。
回答者のうち38%は現時点で海外にて就業中、54%が海外に飛び出して仕事経験を積むこと検討しているという。また、全回答者の3分の2が、雇用主は海外勤務経験のある社員を好む傾向にある、と感じている。
いかなる産業においても、大企業が自社内の優秀人材に海外勤務経験をさせたがるのは周知の事実である。今回の調査の結果では、雇用側だけでなく、実際に社員自身が国境を超えた就業意欲を顕著に見せていることが明らかになった。
「目下海外勤務経験中」の回答者中77%は、海外での仕事経験がキャリアパスに大いに貢献している、と肯定的。72%は給与増につながったとコメント、83%は自己啓発のきっかけとなった、としている。他者にも海外勤務を経験するよう勧めたいと回答したのは98%にも上った。
注目すべきは、一旦海外に出てしまったエリートたちは、故国への帰国をそれほどは焦っていないことで、以前であれば平均で1年か2年であった駐在期間は、現在は4分の3の駐在社員が最低3年以上の心構えで気合いを燃やしているという。
ちなみに、駐在員回答者のうち63%は既に6年以上海外勤務をしており、半分はホスト国での永住権取得を念頭においているようだ。
優秀な人材の海外流出に歯止めがかからぬ一方で、国内人材不足に危惧感を示す声も出はじめている。
「海外流出してしまった秀でた人材をもう一度国内に引き戻したい」と語るのは、シンガポール・ビジネスフェデレーション(SBF:Singapore Business Federation、 シンガポールにおける日本の経団連にあたる組織)のVictor Tay氏。
「現在20万人のシンガポール人が留学及び海外勤務している一方、シンガポール国内の企業は生産能力向上政策に比重をシフトして舵を取ろうとしている。彼らの国外で得た経験、知識こそがシンガポールの産業発展に寄与するはずだ。すべからくして、そうした人材を国内に再配置したいと強く望む」
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