シンガポリアン、ファースト
雇用・教育問題など
4人のタン氏が出馬した大統領選挙も一段落し、言いようのない高揚感に国中が包まれた8月が幕を閉じた。
先月14日はリー首相によるナショナルデーラリー演説に注目した日本人は多かったろうと思う。
ユースオリンピックに湧いた昨年は「シンガポール人精神」に焦点があたったが、今年のキーワードは演説も大統領選も「シンガポール人を第一に」と言えようか。
国の方策を語る演説では、教育、不動産、それから「Immigration」問題は、今年は「Foreign
Talent」と名を変え重要トピックに掲げられ、中級所得層に属する外国人にスポットライトがよりあたったようだ。
まず、就労ビザ(Sパス、EP)の取得基準月給の引き上げ。
EP(エンプロイメント・パス)のQ1タイプは、現在のS$2,800からS$3,000へ。P2は、S$4,000からS$4,500。P1については現行S$8,000を据え置く。
さらに、就労ビザ取得にかかる学歴基準も見直し、より良い大学や機関で質の高い教育を受けた外国人を優先して発行すると言う。
外国人流入に制限をかけることで、シンガポール国民の外国人依存度に歯止めをかけるのが目的で、2012年1月より施行。
また、「シンガポール人が外国人嫌いになったり、拒否したりしないように」と注意を促しながらも、外国人のPR(永住権)や市民権獲得については、今後さらに引き締める指針であることを強調した。
同様に、高等教育における問題では、シンガポール人枠の確保を優先し、2015年までに当地の大学で2000人の追加枠を設け、すべてをシンガポール人にあてることなどを掲げている。
状況をよく観察し、必要と思われる次のアクションを俊敏に起こしてゆく姿勢を示すのは、周囲へのインパクトも強い。
就労ビザの所得引上げは、今年の7月に実施されたばかりで、今回のさらなる強化は、さすが小回りの利くシンガポールというか、変化への対応のスピーディーさには脱帽、というのが個人的に正直な感想。
変化の中で常に一手先を読むのは簡単とは言えないが、めまぐるしく進化するこの小国の指針や方向性に関するニュースに至っては漏らさないようにと、アンテナを張る日々である。
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