エンプロイメント・パス基準賃金引き上げ
企業は給与体系の見直しも検討か
既にご存じの日系企業採用担当者の方も多いかもしれないが、今年7月1日より外国人就業者向けエンプロイメント・パスの取得基準が改新され、支払い給与額が最高で1,000シンガポールドル引き上げられる。
これについて、ガン・キム・ヨン人材開発相は「これまでよりもさらに高いスキル・能力を持った外国人に当地で就業することを促す」のが目的だと説明する。
高スキルを持ち、その大多数が学位を持つ外国人就業者向けのエンプロイメント・パス(EP)には、現在、給与額レンジ別に3種類、P1、P2、Q1がある。
P1の場合は、現行の月給S$7,000からS$8,000に、P2はS$3,500からS$4,000に、そしてQ1はS$2,000からS$2,500へ。
技術者や小売エグゼクティブなど、中レベルのスキルを保有するとされるSパスに関しては、現行の月給S$1,800からS$2,000へとより高額の給与支給が必要となる。
今回の改訂は、2001年にQ1エンプロイメント・パス取得対象者の給与がS$2,000から現行のS$2,500に引き上げられて以来の実施だ。
ガン人材開発相は「現在、エンプロイメント・パス保持者とシンガポール市民は働く環境下では極めて競合的関係にある。近年ローカルの給与が上昇している傾向を考慮し、外国人エンプロイメント・パス保持者も同様に基準給与を引き上げるべきだと判断した」と話す。
昨年1年間で、エンプロイメント・パス保持者数は11万5千人(2009)から14万2千人へと約20%の上昇を見せた。Sパス保持者については、8万2千人(2009)から9万8千人。
既存のエンプロイメント・パスもしくはSパス保有者については、7月1日以前であれば現行の給与規定で最長2年間までの更新が可能である。
このほか、外国人パートタイマーの最低賃金もS$650からS$850へと引き上げを実施。
これらの調整により、就業パス保有の外国人雇用コストが高くなるのは必須で、企業はよりローカル採用をより増加させる傾向になるだろう、と当地の人材紹介企業担当者のコメントが寄せられていた。
「外国人就業者の給与引き上げを実施すれば、ローカルの給与積み増し検討も視野に入れねばならず、既存雇用者全体の給与体系見直しの必要も考えられるのでは」と言うのは、SMEs(中小企業エンタープライズ)代表のローレンス・リュウ氏。
我々の国家成長に外国人人材は必要不可欠で、彼らこそに経済パイを牽引してもらい、皆でより大きな利益をシェアする。しいては魅力的な投資先国家、かつ、さらに大きな雇用市場の確率につながることになる。そういう構造作りの仕掛けだ、とガン人材開発相は念を押すが、当地で就業パス保持者の採用している、もしくはこれから採用する企業にとっては、新たに取り組まねばならないチャレンジになりそうである。
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