シンガポール・スピリット
:リーシェンロン首相の新年メッセージ
(2011年1月1日ストレーツタイムズ紙抜粋)
2011年の世界経済の見通しは複雑だ。米国はまだまだ弱いし、欧州ではギリシャ、アイルランドを始め深刻な債務に直面し、通貨や雇用に関する解決策を模索中だ。
反面、アジアは期待できる。中国、インドを筆頭に東南アジア諸国が着実に伸びている。いわゆる先進国が伸び悩む環境下で、アジアの経済力がシンガポールにとって好機に作用する環境を作り出してくれると思う。
シンガポール貿易産業省は、今年の成長率を4~6%と算出している。これは昨年の実績をはるかに下回るが賞賛に値する数値だ。次の10年間の成長維持はそんなに簡単なことではない。
我々は、今の変化の激しい世界環境に自らを合わせるべく、知識と技術を磨き、生産性の向上と競争力の強化ににこと専念すべきである。そうすることで我々を取り巻く国々の出来事や進歩と足並みを揃えておくことができるのだ。
経済成長は全員一律のより良い生活を約束する。
従って、雇用創出に注力し、シンガポール人の能力開発を支援するために、新規HDB、最新設備の学校、競争力の高い公共交通機関の建設に取り組む計画をたてている。
同時に自然との共存も忘れてはならない。活力ある美しい街として、緑と水の景観を育ててゆく。
過去5年間を振り返ってみるに、国民の自宅所有率・教育水準は上昇したし、交通機関の満足度も高くなった。これらはシンガポールの誇りであるが、一方で我々は常に問題とチャレンジを抱えている。
まず第一に、外国人労働者や移民問題。彼らや低所得の家庭を含むすべての人々に、この国のオーナーシップを感じてもらう必要がある。
このためにシンガポールは外国人人材に対して寛容であらねばならない。
第二に所得の格差だが、政府の考えている対策は次の通り。低所得層については、ComCareやWorkfareの導入、HDB購入支援。中間所得層に対しては、所得税減税を実施と、持ち家購入の選択肢としてのエグゼクティブ・コンドミニアムの建設など。
長期的に見て、政府が達成したいのは、国民の収入の増加とより高いスキルの取得である。どの国の労働者よりも高い生産性を発揮し、少ない労働時間でより高い収入を獲得するような枠組み作りだ。
未来の我々の国を担う学生に対する教育への投資も重視している。
2009年実施のPISA(Programme for International Student Assessment)学力テストではシンガポールの学生は読解力、数学、科学のカテゴリで65カ国中トップ5位の結果を出している。
もちろん、アジア域内では他に韓国、香港、上海の学生も高得点を見せていて、これらの国こそが我々にとっての人材の競争相手だ。従って、シンガポールは引き続き、学校・教師・教育学のさらなるアップグレードに取り組み、才能と社会を統合してゆかねばならない。
教育とは別の、もしくは教育を超えるもう一つ重要な無形の精神、それは我々のリーダシップの資質である。
世界の大きな国では、より多くの人材の資源を保有しているが、我々は人材の数ではたちうちできない。しかし、武器はより優れたチームワークとリーダーシップだ。良い結果を導く政策、チャンスに溢れたより良い明日を人々にもたらすリーダーの存在こそが、我々の国の成功にかかっている。
また、リーダーだけでは成功につながらない。シンガポール人の気骨にもその成功の是非がかかっている。新しいことへの積極的に挑戦する意欲、シビアな競争に立ち向かう自信、常にベストをつくす固い意志。このスピリッツを求めたい。
国家の夢の実現に向けて全員が目標をシェアし、皆が成功を支えるという原則。ぜひ一人一人がこの目標を旨に新年の第一歩を踏み出してほしい。
日本人及び日本語スピーカーの人材をお探しの際は、是非SDSまでお気軽にご相談ください。