新・高学歴移民国家、新たな外国人層も視野に
リ・クワン・ユー最高顧問相スピーチ（今月18日）
火山の爆発や地震など、最近の国際ニュースには予期しえない抑制不可能なものが多い。自然現象としての雷鳴の轟きは確かに頻繁なものの、大きな「天変地異」に無縁のシンガポールの地理的優位性に改めて感謝の念を覚える。
もう一つの有り難いこと。
特に我々「日本人」などの外国人にとって。
それはシンガポール政府の移民に対する寛容な姿勢だ。
「シンガポール経済をさらに元気旺盛なものにするためには、国外からの高い教育をうけた人々を、今後もさらに積極的に受け入れてゆく姿勢が必要不可欠だ」。シンガポール最高顧問相リー・クワン・ユー氏は、今月18日にテッカ・センタでおこなわれたインドの新年を祝う伝統的イベントの祝辞をかねたスピーチでこう述べた。
今年1月から3月までの第一四半期のシンガポールGDPが13.1%と大幅に伸び好調だったことと、グローバル経済に明るい兆しがみられるとの朗報が続くことを受けて、リー氏は「長期的視野で、国際取引・投資・能力の高い人材を引きつける魅力的なアジアのハブ国家としてさらに成長しなくてはならない」と言い放つ。
すでにご存じのように、17世紀初頭に漁民200人くらいが住む島としてスタートした、ここライオンの町・シンガポール。第二次世界大戦が終わったのが1945年。1959年に英国より自治権を獲得し、1965年にマレーシアより分離・独立を果たした。
「そもそも我々は漁村からスターとした。しかし今や我が国は精力的メトロポリスとして国際的に注目を浴びている。この大飛躍の要因は、国が政策として世界中から（特にこれまではインド・中国）の移民を多く受け入れた受益によるものだ」
スピーチでは、シンガポール移民の職業層の変遷についてもふれた。「初期移民の波は、いわゆる肉体労働者、小売業者、警察官などの職にほとんどが就業した。時を経て、現在の移民はどちらかというとシンガポール経済にとっての『高学歴』と『富』の代名詞のような位置づけだ」。つまり移民の質が「トランスフォーメーション」し、これもシンガポールを大きく飛躍させる原動力に貢献した、と述べる。
シンガポール新市民及びPR市民についても言及し、「近年の市民および永住権申請が許可される外国人については、ほとんどがファイナンス・IT・R&Dのプロフェッショナル特性を保有している。彼らの玄人としてのバックグラウンドとスキルが国全体のプロファイルを底上げし、国の競争力とダイナミック性を高めている」。
さらに今後は、職業の専門性の高い外国人のみならず、欧米で学習し就業経験のある外国人の確保も視野に入れて、減少傾向を示しているシンガポール人口の持ち上げを計るべきだ、と意見した。
これからもますます「多様性」と「融合」の国・シンガポールの社会・経済の発展が期待できそうな興味深いスピーチだった。
（ちなみに日本政府も、新規に日本に進出する外資系企業に対し、法人税を大幅に減免する政策を検討しはじめていて、海外からの有能な人材を確保して経済の活性化に結びつけてゆく方向とのことである）
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参考及び引用記事
